2009年11月01日
書評1 武田勝頼by新田次郎
新田次郎の作品では大河ドラマで最高視聴率を記録した「武田信玄」が有名だが、キッドは、
断然この続編とも言える「武田勝頼」の方を推奨したい。
石田三成が清廉で女性にもてる正義漢として描かれるのとは違って武田勝頼の場合は、司馬遼太郎作品のように、
しばしば猪突猛進思慮分別の浅い武将として描かれる。
この新田次郎作品では、武田勝頼は、このままでは武田がやっていけないことがわかっていた勇敢だが思慮も分別もある武将として登場している。
しかしご親類衆(穴山信君)、先代の幻という内部環境におけるW弱み、
厳しい外部環境(織田信長)というT脅威が圧倒的で、
武田騎馬軍団Sつよみと上杉との同盟O機会
を完全に上回っていたため
有能な青年社長(武田勝頼)と老舗企業が巨大新興企業(織田信長)と組織の旧弊(ご親類衆)に本来の力を発揮できず
につぶされていく悲劇が描かれ映画化すれば「影武者」なんかより(テーマはおなじで)よいものができるのではないだろうか。
陽(一)水(二)空(三)前編に準主役で登場している青年時代の真田昌幸は専門職(武将)としての能力と大局的な大名政治家として
の能力を兼ね備える人物として常にすばらしい着想・意見を述べていて(しかしほとんどは旧勢力により採用されない)かなり渋い。
Posted by コンサルキッド at 19:31│Comments(0)
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