2009年11月08日
書評2 「敗れざる者たち」by沢木耕太郎
ブラックキッド号の本日走行距離150キロと一番の長距離走だ。遠方まで行って(予想外の)長時間勉強でちょっと疲れたで。
書評の2弾はノンフィクションライターとして本名が未だにわからない「沢木耕太郎」29歳のときの文庫本「敗れざる者たち」昭和56年キッド19歳のときの冬に購入の本だ。沢木が「5年前、大学を出たばかりで、自分に何が可能さえわからないままにジャーナリズムのリングに上ってしまった4回戦ボーイ」の頃の作品とのことだ。
6篇の作品からなる文庫本だが最初の1篇「クレイになれなかった男」の主人公のボクサーに言ってる台詞は、作家が小説の主人公を見て言っているのではなくあくまでも沢木自身がボクサーであり、一人称で言っているので教訓めいた(後年の著作と違って)しびれるのだ。
”しかし、もっと正確に言わねばならぬ。人間は燃え尽きる人間と、そうでない人間と、いつかは 燃え尽きたいと望み続ける人間の三つのタイプがあるのだ、"とか。
5篇目の「さらば宝石」は、ロッテの前のプロ野球球団毎日オリオンズのEという選手(大毎ミサイル打線の榎本喜八)を追った作品で、どちらかというとコンサルタントや職人でキッドのように「あまり世間は気にしないが自分的にはかなり真面目」という人には、面白いかもしれない。